プロダクト

Motor Racing

現在製造されているマルケジーニホイール(*1)は、マグネシウム製・アルミニウム製ともに「鍛造製法」によってつくりだされています。
鍛造とは、古くは鍛冶屋(かじや)の技術に起源があり、金属を希望する輪郭(形状)になるまで各方向からハンマーでたたいて(=鍛えて)製品をつくり上げる製法を言います。
ホイールの鍛造製法は高温状態の金属を高圧プレスで圧縮して「ブランク材(*2)」を成型することから始まりますがその原理と目的は同じです。
鍛造品の代表的な特徴は、この工程を踏むことによる「金属諸特性(強度、伸び率など)の向上」にあり、ホイールの場合は軽量化と安全性の向上において大きな期待ができる製法と言えます。
鍛造品の技術的観点における基本性能は、金属中の結晶粒度および熱処理状態によって決定します。しかし本来、鍛造によって得られる最大のメリットは金属組織中に生じる「MFD(Metal Flow Direction=金属流れ)」にあり、鍛造品質はこの特性の活用レベルによって差を生じます。
MFD特性を理解し最大限に活用することこそが理想的な鍛造製品を完成させる上での王道であり必須条件となります。


(*1) 対象ホイールはアフターマーケット用ホイール。車両メーカー向けOEMホイールを除きます。

(*2)圧縮成型後の切削加工仕上げ前の鍛造品の原型と言える素材。

●鍛造された金属組織断面イメージ
鍛造することによって金属組織中の結晶粒度が高まり、金属の諸特性(強度・伸び率など)は向上します。結晶粒度のレベルは鍛造プレスの能力(圧力)に依存します。
また、鍛造品には圧縮により変形を受けた方向に金属組織が整列するという特性があり、金属組織中には植物の繊維や木材の木目のようなイメージのMFDがつくり出され、一般的に金属諸特性はMFDの方向と直角方向に最大値を示します。結果としてホイールという部品にとって理想的なMFD特性を与えた鍛造品をつくりあげることが性能向上の鍵を握っているのです。

●多方向同時プレス鍛造法
(Total Formed Forging System)
マルケジーニはMFD特性を最大限に活用した高品質鍛造品をつくりだすために専用鍛造金型(Exclusive Mold)を用いた多方向から圧縮が可能なプレス設備により鍛造をおこなっています。
このシステムの採用によってホイールという部品の各部の性能・信頼性を高めることができるのですが、その中でも最も有効な部分はリム部分の性能向上にあります。リムに作用する基本的な負荷(衝撃・荷重)は路面からほぼ直角に入力しますが、この鍛造法によってリム部には入力方向に対して最大値を示すMFDが形成されますので、軽量化と信頼性(耐久性)を高い次元で両立することができます。

Safety

マルケジーニにとってのホイールデザイン。
それは常に性能追及の結晶として生まれてきます。
ホイールの性能において最も注目される要素は「軽量化」であると考えますが、高性能ホイールとしての資質は「軽量化の内容(マスの集中化)」を問われるものであり、また軽量化の追及には同時に安全性におけるリスクが存在することを理解した開発が重要です。
マルケジーニのホイール設計はいつのときもこのことを前提としており、断面構造の活用レベルが高く、応力分散に有利な構造を追及しています。
このような性能追及から生まれてくるデザインはある意味でとてもシンプルなものとなりますが、飾りではない本物のデザインの美しさがマルケジーニのホイールにはあります。

●M7R(M7RS)のスポークデザイン
最新のM7R(M7RS)はMotoGPモデルのデザインがダイレクトに採用されています。このホイールの最も特徴的なデザインは「スポーク部分」にあります。スポークの全体的なフォルムは傾斜が比較的強く付けられた緩い曲線でつないだデザインとなっており、これは「しなり特性」の利用によるトラクション向上を狙ったものです。同時に剛性を高めながら軽量に仕上げる手段として断面構造を最大限利用した「S字H断面」を採用しています。これ以外にもスポーク付け根の軽量穴(*1)や側面ポケット加工仕上げなどグラム単位の軽量化を追求したデザインがおこなわれています。


(*1) マルケジーニが考案し最初に採用した構造デザイン。今やトレンド化していると言えるが、性能面からはデザインの真意が問われる。


MADE IN ITALY. (イタリアの文化と歴史が生み出すデザイン)

マルケジーニから提供されるアフターマーケット向けホイールは、レーシングホイールはもちろんのこと、ストリート用ホイールについても“ハイパフォーマンス”の追求を最優先した設計・開発がおこなわれています。
ここではリアホイール(M10R Corse)のカットモデルを参考とした各部の解説をおこないます。

●ハブ部
ハブ内径を可能な限り大きく設計することがポイントとなります。その基本的な理由はハブ内径を大きく設計すること=ハブ剛性向上およびスポーク長さの短縮につながり、軽量と高剛性を両立できるからです。 ホイール全体の土台と言えるハブ構造に対するマルケジーニの設計思想は一貫しており、CNC切削加工によって最終仕上げがおこなわれる現在の鍛造ホイールにおいても、ハブ内部を手間のかかる「中ぐり加工」を施すことによって、軽量・高剛性の大口径中空ワンピース構造に仕上げています。

●スポーク部
スポークとはリムを支えるための柱であり、その構造によってリム部の軽量化と剛性に差が生じます。基本的にはスポーク本数が多いほどリム部軽量化に有利と言えますが、その理由はスポーク間距離が短くできるという単純なものです。ただし単にスポーク本数を多く設計したのではスポーク自体の質量が増えてしまい、ホイールの高性能化においてはマイナス要因となります。そのためリムの軽量化を目指しながらもホイール全体の剛性バランスなども含めた設計が要求されるのですが、マルケジーニはこの条件に真正面から向き合い、切削の難易度やコストが上昇することを承知した上で性能を最優先するためのスポークデザインと断面構造を追及しています。

●リム部
高性能ホイールにとってリム部分は回転慣性重量(モーメント)軽減のために最も軽量化を達成したい部分です。その効果はモーターサイクルという乗り物にとっては特に有効と言えますが、リムの軽量化は強度・耐久性(安全性)の観点からはとても慎重な設計が求められます。現在のマルケジーニホイールはハブおよびスポークとの総合的なバランスを追求することによるリム軽量化と同時に、理想的なMFD(Metal Flow Direction=金属流れ)を形成することのできる独自の鍛造製法を採用することによって、強さと軽さを兼ね備えたリム構造を確立しています。

●フィッティングパーツ
スプロケットホルダー・ディスクアタッチメント・サイドカラーといったホイールを構成する各部品は、ジュラルミン素材(A7075/A2017)をCNC切削加工することによって製作されています。関連部品の設計においても、こだわりをもって軽量化と機能美を追求しています。